ウエディングドレスを、幸せの始まりの象徴にした女性

女性の多くはウェディングドレスに夢を持つでしょう。往年の大女優、高峰秀子さんは小学校も行けずに家族を養うために女優を続け引退後は執筆家としての才能も見せつけた人で、以下は彼女のエッセイからです。

実家での母との軋轢で苦労をした彼女がようやく30歳にして生まれて初めて得た幸せとは、実家のがめつい親類とは正反対の清廉潔白、誠実そのものの伴侶をみつけた事でした。日本一ギャラの高い女優でありながら親類中を養った彼女は貯金がほとんどなかったそうで、戦争中に知り合ったアメリカ人に、本国から安物のウェディングドレスを送ってもらうよう頼んだら、大女優だからでしょう、最高級のシルクの素晴らしいドレスが海を渡って到着しました。それを着た写真を今も見ることができますが、古さを感じさせない素敵なドレスです。彼女は利口な人で結婚式の終わったあとも幸せな結婚を維持するために見えない形で努力を続け、売れない作家だった夫を支え、夫は期待にこたえて成功しました。

それから数十年、彼女は知人の娘に頼まれてそのドレスを貸し、その娘の結婚式に出るため長年連れ添った、仲が良くて有名な夫と関西に向かいます。彼女の生まれてはじめてつかんだ安らぎである結婚生活、幸せの始まりの象徴であったウェディングドレスが数十年ぶりに日の目をみて晩年の彼女は生を振り返って感動します。こんな話を聞くとウェディングドレス レンタルではなくて、思い出とともにしまっておける自分のドレスが欲しくなってしまいます。